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カテゴリ: 矯正歯科

アングルⅢ級(軽度) クラウディング(叢生、乱杭歯)の治療例~スリーインサイザー(3 incisor)~

不正咬合(歯列不正)は、上下の大臼歯の咬合関係(位置関係)によってアングルⅠ~Ⅲ級に分類します。

アングルⅠ級:上下の大臼歯が正常な場合

アングルⅡ級:下顎の大臼歯が、上顎の大臼歯よりも相対的に後方にあるもの(出っ歯の状態がこれにあたる)

アングルⅢ級:下顎の大臼歯が、上顎の大臼歯よりも相対的に前方にあるもの(受け口の状態がこれにあたる)

 

矯正治療が最も容易なものは、当然初めから奥歯の咬合状態が正常であるアングルⅠ級です。

これは、奥歯の前後的な補正を行う必要が無いためで、非抜歯で治療できるケースもあります。

これに対して、Ⅱ級およびⅢ級では咬合関係の補正あるいは補償をするために、ほとんどのケースで抜歯およびIPR(ディスキング、ストリッピング)が必要になります。

また、外科矯正が適応になるケースも多々あります。

このように、アングルの分類は治療計画を立てるうえで非常に重要となります。

 

矯正治療で便宜抜歯を行ってスペースを確保する場合、最も頻度が高いのは第一小臼歯(4番)を抜歯するケースです。

しかし、咬合関係がⅡ級あるいはⅢ級の場合には、第二小臼歯(5番)を抜歯することも多々あります。

上下の歯並びや咬合関係によっては、変則的に側切歯(2番)や犬歯(3番)を抜歯するケースも稀にあります。

抜歯部位の判断は、治療の難易度や期間、年齢、歯や歯並びの状態などを総合的に判断行います。

基本的には、偶数本を便宜抜歯することで、歯列と顔貌の左右対称性を図ることが多いですが、抜歯本数を極力減らすために変則的な抜歯(奇数本の抜歯や、小臼歯以外の抜歯)を行うこともしばしばあります。

 

初診時。上下のクラウディング(叢生、乱杭歯)の改善を希望して来院。下顎前歯部の叢生が顕著。上顎前歯は捻転(ねじれ)および前突しており、歯軸の改善が必要な軽度アングルⅢ級のケース。上下顎ともに顕著な骨隆起(骨の出っ張り)を認め、咬合力の強さやブラキシズム(歯ぎしりや食いしばり)の習慣が疑わる。このようなケースでの4本の便宜抜歯は、咬合の観点からリスクが高いと思われる。総合的に判断し、上顎はIPR(ディスキング、ストリッピング),下顎は左側中切歯1本の便宜抜歯を行って3本前歯(スリーインサイザー)にして、歯列矯正を行うこととした。

 

矯正治療後。上下ともに左右対称なきれいな歯列になっている。前歯部のクラウディングおよび前突が改善し、美しい口元となった。下顎前歯が3本となった関係で、上下の正中は一致しないが、機能的にはまったく問題はない。最少の抜歯本数、臼歯部の咬合関係を大幅に変化させずに治療できたメリットは大きい。

 

矯正治療は、治療前の診断および治療計画が非常に重要です。

一旦、抜歯やIPRを行えば、それを元に戻すことは不可能なため、計画に無理があると後々修正することは困難になります。

最初に描いた治療の青写真、完成予想図以上に良い治療結果は生まれないものです。

したがって、矯正治療を受けるに当たっては、術前に担当の先生と十分なカウンセリングを行うことが重要となるのです。

治療期間:1年6か月

治療費:全顎矯正¥880,000

治療におけるリスク:矯正治療では歯肉退縮および歯根吸収、知覚過敏、稀に歯髄壊死が生じる可能性があります。

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部分矯正(MTM)によるクラウディング(叢生、乱杭歯)の改善~部分矯正は実は簡単ではない!~

矯正治療を希望される人のほとんどが、前歯の歯並びの改善を希望しているかと思います。

部分的な矯正治(MTM)は、簡単なように見えて、実は上下の歯の噛み合わせを合わせるのが非常に難しい治療です。

特に上顎だけあるいは下顎だけのように、片方だけの歯並びの改善・治療を希望する場合、基本的に嚙み合わせを合わせることは困難です。

これは、上下の歯並びは対になっており、悪い歯並び同士で辻褄が合っているためです。

上下のいずれかだけの歯並びを治すとバランスが崩れ、歯並びはきれいに並んだものの噛みにくくなることがあります。

その点、全顎矯正は全体を動かすことが出来るため、咬み合わせの改善を図ることが可能です。

 

治療前。下顎前歯部のクラウディングの改善を主訴に来院。以前、他院にて矯正治療を行ったが、後戻りしたため再矯正を希望。上顎は気になっておらず、下顎だけの改善を希望。下顎を前方に動かすと、左側中切歯(向かって右)だけしか噛み合っていないのが分かる。このような噛み合わせは、咬合性外傷による歯周病に罹患しやすい。

 

矯正治療後。ディスキング(IPR、ストリッピング)を行い、歯と歯の間にわずかな隙間を作り歯並びを改善。下顎前歯部はきれいに並び、下顎前方運動時も左右の中切歯が均等に咬合するようになった。

 

部分矯正(MTM)は、費用、期間などの点で魅力的に感じるかもしれません。

しかし、部分矯正では基本的に便宜抜歯をしないため、歯並びを整えるスペースを十分に確保することは難しく、難易度は高いのです。

特に重度のクラウディング(叢生、乱杭歯)の程度が強い場合、歯並びをきれいにすると結果的に出っ歯になったり開咬(オープンバイト)になることもあります。

矯正治療をお受けになる際には、治療後の仕上がりについて、術前に十分なカウンセリングをお受けになる必要があるでしょう。

治療費:¥440,000

治療期間:6か月

治療におけるリスク:歯列矯正では歯根吸収や歯肉退縮、知覚過敏が生じる可能性があります。

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アングルⅠ級 クラウディング(叢生、乱杭歯)の歯列矯正治療~非抜歯ケース~

歯列矯正において、抜歯か非抜歯を決める決定的な要素は、歯の大きさと顎骨の大きさとの差異・不一致(ディスクレパンシー)です。

顎骨の大きさに対して歯の大きさが大き過ぎる場合には、歯はきれいに並ばずクラウディング(叢生、乱杭歯)を呈します。

また、顎骨の大きさに対して歯の大きさが小さい場合には、歯と歯の間に隙間を生じる歯列不正である空隙歯列となります。

歯列不正の頻度として多いのは、前者である顎骨の大きさよりも歯の大きさの方が大きいケースです。

この顎骨と歯の大きさとの不一致(ディスクレパンシー)がある場合には、歯をきれいに並べるために小臼歯の便宜抜歯や、歯のディスキング・IPR(Inter-proximal Reduction)・ストリッピングなどを行って歯列に隙間を作り、ディスクレパンシーの解消を行って歯を並べていきます。

デイスクレパンシー(顎骨と歯の大きさの不一致)の程度が大きければ抜歯が必要となり、ディスクレパンシーの程度が小さければ抜歯せずディスキング(IPR、ストリッピング)でスペースを確保し、歯をきれいに並べることが出来ます。

多少無理をすれば、ディスキング(IPR、ストリッピング)をして非抜歯で歯を並べることができるかもしれません。

しかしながら、抜歯をしたくないからと言って、無理な非抜歯での矯正治療は、歯根が歯槽骨からはみ出して歯肉退縮を招き、前歯は前突して出っ歯になったり開咬(オープンバイト)になる可能性が高く、噛み合わせが悪くなったり、将来歯を失うリスクが高まります。

したがって、抜歯か非抜歯かを決める際には、客観的な判断がきわめて重要となります。

 

非抜歯で矯正治療ができる典型的な歯列不正は、顎骨と歯の大きなのディスクレパンシーが少ない、上下的に奥歯のずれの無いアングルⅠ級のクラウディング(叢生、乱杭歯)のケースおよび空隙歯列のケースでしょう。

特に歯列の横幅が狭窄しているケースでは、歯列の側方拡大によって歯が並ぶスペースを確保できるため、歯列矯正は比較的難易度は低く、治療期間も少なくて済む場合が多いです。

これに対し、アングルⅡ級(出っ歯)およびⅢ級(受け口)のケースは、一般的に抜歯が必要となります。

 

初診時口腔内。前歯部の反対咬合(クロスバイト)およびクラウディング(叢生、乱杭歯)の改善を希望し来院。小臼歯部には鋏状咬合(シザーズバイト)も認め、咬合状態は良くない。下顎歯列弓はやや横幅が狭窄したV字型を呈し、顎骨と歯の大きさのディスクレパンシーは大きくない。前歯部の歯軸および突出感もあまりないため、下顎歯列の側方拡大による非抜歯矯正が可能と判断される。

 

矯正治療後口腔内。非抜歯側方拡大によるワイヤー矯正を行った(ディスキングなし)。前歯部の反対咬合(クロスバイト)およびクラウディング(叢生、乱杭歯)が改善しているのが分かる。上下の歯列弓は、左右対称の美しいU字型のアーチフォームに修正され、小臼歯部の鋏状咬合(シザーズバイト)も改善し、咬合状態が正常化した。非抜歯ケースであるため、治療期間も最小限。

 

アングルⅠ級のケース(上下の奥歯にずれの無いケース)は、抜歯・非抜歯の判断を間違えなければ、矯正治療の難易度は高くありません。

最近では、デジタル化によって術後のシミュレーションを行えるようになってきましたが、これはあくまでもシミュレーションであり、術後の歯並びや顔貌を正確に再現しているわけではありません。

シミュレーションでは顎骨や歯肉、口唇、顔貌などの状態を正しく評価することは出来ないため、治療結果がシミュレーション通りにいかない可能性があります。

最終的には、歯科医による客観的な診断が正しく矯正治療を行う上で最も重要となるでしょう。

 

治療期間:1年6か月

治療費:¥980,000(保定装置含む)

治療におけるリスク:矯正治療によって歯肉退縮および歯根吸収、知覚過敏生じる可能性があります。治療後の保定を怠ると、歯並びの後戻りを生じます。

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アングルⅠ級 上下顎前突(出っ歯)の治療例~抜歯ケース~

アングルⅠ級とは、6番(6歳臼歯)の上下関係が正常なもの(ずれが無いもの)を指します。

Ⅱ級は下顎が相対的に後方にあるもの(通常出っ歯の様相を呈する)、Ⅲ級は下顎が相対的に前方にあるもの(通常受け口の様相を呈する)と分類します。

この診断は、矯正治療をするうえで非常に重要です。

ほとんどの矯正患者さんは、前歯の歯並びが気になって矯正治療を希望します。

しかし、矯正治療の治療においては、6番の上下関係(アングルの分類)が正常咬合に導けるかどうかが治療の難易度を決定付けます。

 

一般的に、矯正治療では奥歯(臼歯)を支え(固定源)として前歯を動かして歯並びを整えます。

この時、上下の奥歯の位置関係は非常に重要になります。

上下のずれの無いⅠ級咬合では、その関係を維持したまま治療を行う計画を立てます。

もともと臼歯の前後関係にずれのあるⅡ級やⅢ級の場合には、その関係を正常(Ⅰ級)に改善するのか、あるいはずれを許容したまま治療を完結させるのかを最初に決定する必要があります。

これによって、固定源を補強するか否かを検討していきます。

固定の強さは次のように分類されます。

①最大の固定:抜歯スペースの1/4以上のアンカーロス(臼歯の近心移動)が許されない場合

②中等度の固定:抜歯スペースの1/4∼1/2の範囲でアンカーロスを許容される場合

③最小の固定:抜歯スペースの1/2以上のアンカーロスが許容される場合

これらを考慮した上で、固定源の補強や方法を検討していきます。

 

初診時。アングルⅠ級上下顎前突およびオープンバイト(開咬)の例。上下前歯に軽度クラウディング(叢生)を認める。上下とも歯列幅径は十分に広く、開咬を呈することから、上下左右の小臼歯4本の抜歯が必要なケース。このようなケースを非抜歯で無理に治療すると、仕上がりはうまくいかない。上下の臼歯の位置関係をなるべくずらさないように、上顎にはTPA(トランスパラタルアーチ)を併用して固定源を補強し治療していく。

 

矯正治療後。小臼歯の便宜抜歯を行い前歯の十分な移動スペースを確保したことにより、前歯が内側に入って出っ歯が改善し、美しい口元になった。オープンバイトも改善したことで、前歯で食べ物も噛み切れるようになった。

 

矯正治療は、治療計画によって仕上がりが全く異なるものになります。

本来は抜歯ケースであるにも関わらず、無理な非抜歯治療を行うと、出っ歯になったり、歯肉退縮の原因にもなります。

治療前に十分なカウンセリングをお受けになることが重要です。

 

治療期間:2年

治療費用:¥880,000

治療におけるリスク:歯の移動に伴い、歯肉退縮、知覚過敏、歯根吸収が起こる可能性があります。

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矯正用インプラントの種類と用途~スクリュータイプとプレートタイプの違い~

矯正治療では、積極的に動かしたい歯と動かさずにその場に留めておきたい歯があります。

通常、動かしたくない或いは動かさない歯を固定源(アンカー)として、位置の悪い歯を動かして歯並びを整えていきます。

この場合、ゴムやコイルなどで歯を動かすと、必ず作用・反作用の法則に基づきお互いの歯が動きます。

動かしたくない歯までも動くのが、通常の矯正治療では起こるのです。

これを解決できる方法として、矯正用のインプラントを用いたインプラント矯正があります。

矯正用インプラントには大きく分けて2通りのものがあります。

①スクリュータイプ(ネジタイプ)

②プレートタイプ

 

スクリュータイプ・インプラントアンカー。直径1.2~2.0mm、長径6~10mm程度と細くて短い。基本的に歯肉を切開することなく骨に設置でき、痛みや腫れはほとんど出ない。インプラントの直径が細いため、部位によってはしばしば緩んで脱落することがある。

 

スクリュータイプ・インプラントアンカーの使用例。設置は5分とかからず、患者さんの負担はほとんどない。固定力は強くないため緩みやすく、多数歯の移動には向いていない。

 

スクリュータイプ・インプラントアンカーの口蓋への使用例。2本のアンカースクリューを固定源として用いることで、上顎すべての歯の遠心移動を行う(PLAS:パラタル・レバー・アーム・システム)。複数本のアンカースクリューを応用することにより、多様な歯の移動が可能となる。

 

プレートタイプ・インプラントアンカー。骨の表面に2~3本のネジで固定する。固定力は非常に強固で、多数歯の移動や臼歯の遠心移動、圧下にも容易に対応でき、矯正治療期間の大幅な短縮や難症例の改善が見込める。設置は歯槽粘膜を大きく切開剥離するため、術後に腫れや痛みを生じやすい。

 

プレートタイプ・インプラントアンカーの使用例。臼歯部を一塊で遠心(後方)に移動している。固定源として強力で、緩むことはほとんどない。治療期間中、しばしば細菌感染により腫れることがあるため、衛生状態を良好に保つ必要がある。

 

使用する矯正用インプラントや適応部位は、その症例に応じてケースバスケースです。

なるべく患者さんの負担が少ないこと、また治療上の有益性を考慮して選択します。

不明な点は、担当医に遠慮なく相談すると良いでしょう。

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インプラントよりも自分の歯を残す努力を!~MTM(部分矯正)を利用した歯の保存~

不幸にして歯がダメになってしまった場合、一般的に歯を入れるには

①入れ歯(義歯)

②ブリッジ

③インプラト

のいずれかになります。

それぞれの方法には、良い点もそうでない点もあります。

入れ歯は、治療期間が短く、費用が最小で済みますが、見た目が悪く、違和感も大きく、噛む効率が悪くなります。

ブリッジは、見た目が自然で違和感が少なく、治療の期間も短めです。そして自分の歯と同じように噛むことが出来ます。その半面、両隣の歯を大幅に削る必要があり、負担も増えます。

インプラントは、自分の歯に一切負担をかけず、違和感、審美性で優れています。その反面、インプラントの埋入手術が必要で、治療期間がかかり、費用がもっともかかります。

 

通常、自分の歯にダメージを与えずに最も長く持つ治療法は、現在の治療技術であればインプラント治療であることは疑う余地がありません。

しかしながら、そこに歯並びの問題が加わると、状況は大きく変わります。

 

治療前、右下の4番(第一小臼歯)が大きな虫歯となり、保存不可能な状態(青⇒)。舌側には5番(第二小臼歯)は転位している(黄⇒)。歯並びが悪いため清掃不良となり、虫歯が進行してしまったと考えられる。2本とも抜歯して、入れ歯・ブリッジ・インプラントの治療計画が一般的と考えられるが、第二小臼歯を部分矯正し、歯列に参加させるという治療計画も成り立つケース。

 

第一小臼歯を抜歯した(青⇒)。内側の第二小臼歯は歯並びが悪かったため、虫歯を認める(黄⇒)。虫歯治療後、MTM(部分矯正)にて第二小臼歯を外側に引き出す治療を行うこととした。

 

ブラケットを装着し、第二小臼歯を外側に引っ張っているところ。

 

第二小臼歯がかなり外側に動いてきているのが分かる。

 

MTM(部分矯正)終了時。内側に入っていた第二小臼歯は歯列の中に正しく並んだ。自分の歯が残せるメリットはとてつもなく大きい。

 

歯を抜くことはいつでも可能です。

もし、ご自身の歯が長期に安定して残せる可能性があるなら、MTM(部分矯正)はインプラントよりもはるかにメリットがあるでしょう。

自分の歯に勝る歯はないのです。

治療法は、歯科医院によって千差万別です。

悩んだ時は、色々な歯科医院で意見を伺うと良いでしょう。

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インビザラインなどのマウスピース矯正の予後不良例が増えている!~治療は適材適所が重要~

コロナ禍になってから、矯正治療を希望する患者さんが増えているようです。

社会全体がマスク生活になり、口元が目立たない今のうちに歯並びを治しておきたいと考える患者さんが増えているためと考えられます。

そして、矯正治療の中でも歯にブラケットなどの矯正装置を装着しないで歯並びをきれいにできるマウスピース矯正が流行っています。

確かに、マウスピース矯正は患者さん自身で装置を自由に脱着できますし、歯磨きもしやすく、装置を装着していても目立ちにくいメリットがあります。

しかしながら、マウスピース矯正には適応症があります。

軽度の前歯の叢生(乱杭歯、凸凹、クラウディング)やすきっ歯(空隙歯列)はマウスピース矯正の適応となりうるでしょう。

噛み合わせの改善を行う必要がある場合(上顎前突、下顎前突、ディープバイト、過蓋咬合)や抜歯矯正などはマウスピース矯正には向いていません。

つまり、多くの歯列不正はマウスピース矯正で治すことは難しいと言えます。

 

マウスピース矯正では、最低でも1日20時間以上のマウスピースの装着が必要といわれています。

長時間かつ長期間マウスピースを装着していると、奥歯は咬み合わせる力で圧下し(沈み込む)、徐々に噛み合わなくなります。

このようなことを、スプリント(マウスピース)を使用した多くの咬合治療で見てきました。

 

マウスピース矯正は、矯正歯科医でない一般歯科医でも治療を手軽に始める傾向にあります。

歯型の型取りをすると、コンピューター上で歯並びをシミュレーションし、マウスピースを作ってくれるため、歯科医師がすることはほとんどないと思われていますが、矯正治療はそんなに簡単ではありません。

マウスピース矯正による噛み合わせの不具合は、ワイヤー矯正による修正が必要になる場合があるため、ワイヤー矯正をきちんとできる歯科医の下で行うことが必須です。

したがって、マウスピース矯正をする場合には、最終的にワイヤー矯正に移行して噛み合わせをきちんと噛ませることが必要になると治療当初から考えていた方が無難でしょう。

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上顎前突(出っ歯)の抜歯矯正治療

出っ歯のことを、歯列矯正では上顎前突と呼びます。

上顎前突は、下顎に歯列に対して上顎の歯列が前に出ている歯並び・歯列不正のことです。

上顎前突は、見た目の悪さが目立ちますが、それ以外にも口唇が閉じにくい、外傷を受けやすいなどのデメリットがあります。

上顎前突の矯正治療は、上の前歯を内側に入れるために、通常上顎の第一小臼歯(4番)を左右抜歯し、できた隙間に前歯を下げていきます。

噛み合わせにの状況によっては、下顎の小臼歯を2本抜歯することもあります。

これは、上下の歯の数が異なると、理想的な咬合関係を築くことが困難なためです。

しかしながら、抜歯を最小の本数にする方法として、上顎の小臼歯だけを抜歯する治療計画は一般的によく行われています。

 

治療前。上顎の前歯の突出の改善を主訴に来院。上顎前歯の前方への突出が著しい。また下顎の前歯が上顎の歯茎を噛んでおり、過蓋咬合(ディープバイト)を呈している。上顎前歯の後方移動と過蓋咬合の改善が必要な症例。臼歯部の上下の咬合関係は完全な2級咬合(下顎遠心咬合)であるため、上顎の左右の第一小臼歯だけを抜歯する計画とした。

 

矯正治療後。上顎の小臼歯を抜歯したスペースを利用することで、上顎前歯が内側にきれいに並んでいることが分かる。過蓋咬合も改善し、個性正常咬合を確立した。上下の歯の数が異なる変則抜歯のケースでは、抜歯本数を最少に出来るものの、下顎第二大臼歯(一番奥の歯)は噛み合わせにあまり参加できない欠点もある。治療計画は、総合的に最善な結果が得られるよう立案し提案することが重要。

 

治療期間:1年2か月

治療費用:¥960,000

治療のリスク:矯正治療は歯肉退縮や歯根吸収を起こすことがあります。また、治療後は保定を適切に行わないと、後戻りを起こすことがあります。

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上顎前突(下顎遠心咬合)の抜歯矯正の治療例

上顎前突とは、上の歯が下の歯に対して前方に出ている歯列不正です。

つまり、上顎の歯列に対し下顎の歯列が後方にずれている状態を差し、下顎遠心(えんしん;後ろという意味)咬合ともいわれます。

出っ歯は、まさにこの上顎前突、下顎遠心咬合の状態のことです。

上顎前突では、上顎前歯を内側に入れる治療を目標にします。

通常、歯列に隙間は無いことから、上顎前突の場合には小臼歯を便宜抜歯しての矯正治療が最もスタンダードになります。

上顎前突の程度が軽かったり、歯列の後方(奥)にスペースがあれば、矯正用インプラントを使用し、非抜歯での治療が可能な場合もあります。

上顎前突の場合、抜歯か非抜歯可能判断で重要となるのが、側貌(横顔)の美しさの指標となるE-line(エステティックライン)です。

E-lineは、顔を横から見たときに、鼻の先端とオトガイ(下唇の下)の再突出部を結んだ 線のことです。

日本人では、下唇がこのE-line上もしくはやや後方であると最も側貌が美しいと考えられています。

したがって、口腔内、レントゲン、歯列模型、顔貌などを総合的に分析して、抜歯か非抜歯かを最終決定することが重要となります。

 

初診時口腔内。上顎前歯部の凸凹を主訴に来院。側貌は上下口唇がほぼE-line上にあるものの、上顎歯列が下顎歯列に対して前方にあり、2級咬合(下顎遠心咬合、上顎前突)を呈する。上顎前歯部のクラウディング(叢生)が強く、下顎歯列に大きな不正は見られない。非抜歯矯正では上顎前歯が前方に突出して出っ歯になってしまい、美しい側貌が損なわれるケース。上顎の左右第一小臼歯だけを抜歯して矯正治療を行う方針とした。

 

矯正治療後。上顎前歯の凸凹は改善し、左右対称の美しい歯列になった。抜歯矯正において、上下の犬歯の咬合関係は極めて重要となる。上顎はクリアリテーナー(マウスピース)、下顎はFixリテーナー(ワイヤー)で保定を行った。矯正治療後も、美しい口元は保たれている。

 

矯正治療は、見た目の歯並びだけでなく、顔貌の美しさ、舌房の広さ、良好な噛み合わせなどを総合的にバランスの取れた状態にすることが重要と言えるでしょう。

治療に際して、不安なことがあればいつでも遠慮せずに担当の先生にご相談しましょう。

治療期間:1年6か月

治療費:矯正治療基本料 ¥880,000

治療に伴うリスク:治療期間は歯列不正の程度により異なります。矯正治療では歯の移動に伴って歯根吸収が生じることがあります。矯正治療後は、適切に保定を行わなないと、後戻りを起こすことがあります。

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前歯の埋伏歯の矯正治療法

上顎の前歯、特に犬歯が正常に萌出できずに、顎骨の中に埋伏してしまうケースが時々あります。

本来萌出すべき歯が埋伏してしまうと、歯の本数が足りなくなるため、歯並びや噛み合わせが悪くなり、審美的にも機能的にも問題を生じてしまいます。

犬歯が埋伏しているケースでは、ほとんどのケースで乳犬歯が残存しており、この乳犬歯は色も形も大きさも永久歯と明らかに異なります。

また、長期的には乳犬歯は動揺してくるため、いずれ抜歯が必要になるでしょう。

まだ年齢が若いのであれば、埋伏している犬歯を矯正治療で動かし、歯列の中にきちんと並べることができる可能性があるので、治療する価値は十分にあります。

 

埋まっている犬歯を開窓し、矯正装置を付けたところ(矢印)。ゴムをかけ唇側に牽引していく。

 

かなり唇側に動いているのが分かる。埋まっている歯を動かす場合、歯の向きや傾きが分かり難いので、定期的にレントゲンを撮影し、牽引する方向を確認しながら治療を進めていく。

 

埋伏していた犬歯はほぼ歯列の中に入っているのが分かる。ここまで動けば、あとは通常の歯列矯正で動かすことが可能となる。

 

埋伏歯は、埋まっている深さや向き、年齢や性別によって、動きやすさがまったく異なります。

基本的に、若ければ若いほど骨が柔らかく、動かしやすい傾向にあります。

まずはCTによる診査を行い、埋伏歯を動かせるかどうかを診断する必要があるでしょう。

詳しくは、担当の先生にご相談してみましょう。

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